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チベット仏教の紹介

チベット仏教と日本の仏教との違い

一般に言われるチベット仏教と日本仏教の大きな違いは、その伝道の時代とルーツにあります。
日本に仏教が伝わったのは1世紀から7世紀、インドから始まり中国を通って伝わりました。 一方、インドから直接仏教が伝わったのがチベットで、時代背景としては7世紀から13世紀とされています。
つまり、日本には初期の仏教が中国というフィルターを通して伝わったということです。
チベットに伝わったのはインド仏教が後期、ヒンドゥー教の隆盛によって仏教が圧迫された時代に、 どうにか再興ならないものかとヒンドゥー教の要素を取り入れた頃の密教的要素が濃いものに、 チベット独自のボン教の特徴が織り交ざって展開したものです。
ラマを師匠として敬い師弟関係を通じて教えが伝えられることから、ラマ教とも呼ばれます。

チベット仏教四大宗派とボン教

ゲルク派
ツォンカパ（1357年 - 1419年、チベット仏教最大の学僧）を開祖とするゲルク派はチベット仏教四大宗派最大、 ガンデン・ゴンパを総本山とし、ダライ・ラマとパンチェン・ラマもここに所属します。
1409年創立と最も新しい宗派で、中国では黄教と呼ばれます。
特徴としては、ツォンカパが密教的要素が強いチベット仏教を憂いて興したというゲルク派のためなのか、 戒律を重んじ顕教を重視するためそれを必修とし、極めた者にだけ密教をの教えを授けることと、 他の宗派と違い妻帯が禁止されていることです。

総本山：ガンデン寺
六大寺院：ガンデン寺、デプン寺、ラブラン寺、タシルンポ寺、セラ寺、タール寺

ニンマ派
ニンマ派はティソン・デツェン王（8世紀吐蕃王朝の王） によって招聘されたインドの行者グル・リンポチェ （サンスクリット語でパドマサンバヴァ。チベットに密教をもたらした）によって 開かれた最も古い教派です。僧侶が赤い帽子しか被らなかった為に紅教とも呼ばれます。
伝統的に出家せずに修行すること、呪術を信奉していること、たくさんのテルマ（埋蔵経典） があることが特徴です。
ブータン等でグル・リンポチェは第二のブッダとも考えられており、大人気のニンマ派です。


総本山：ドルジェタク寺（北流総本山）、ミンドルリン寺（南流総本山）
六大寺院：ドルジェタク寺、ミンドルリン寺、ゾクチェン寺、カトク寺（カトック寺）、ペユル寺、シェチェン寺

カギュ派
カギュ派は11世紀頃にインドへ留学し、ナローパに学んだしたマルパを開祖とします。 開祖は白い僧衣を身にまとい修行をしたので白教とも呼称されます。 さらにナルパに学んだ有名な弟子に吟遊詩人のミラレパがあり、カギュ派の流れはミラレパの生きた足跡 だともいわれます。
カギュ派は主に6派に分けられ、さらに細かく分類されます。大まかにカルマ・カギュ派で二つに分れ、カルマパ黒帽派、カルマ紅帽派、それにツェルパ・カギュ派、 ディクン・カギュ派、パクモドゥ・カギュ派、ドゥク・カギュ派となります。
最初に転生活仏制度を始め、後にゲルク派など他の宗派にも取り入れられて行きます。 金剛総持を主尊とし、チベット仏教の中でも最も密教的で、 マハームードラ（カギュ派独自の瞑想修行法）などインド後期の密教を伝えるための要素が強いことが特徴です。

総本山：ツルプ寺（黒帽派）、ヤンパチェン寺（紅帽派）、ツェルグンダン寺 （ツェルパ・カギュ派）、 ディグンティ寺 （ディクン・カギュ派 ）など

サキャ派
サキャ派は中央チベットはツァンに栄えたクン族によって興されました。花教とも呼ばれます。 開祖クン族のンチョク・ギェルポは在家の行者で、 1073年シガツェに寺を建てサキャ寺としたのが始まりです。
四大宗派の中では珍しく世襲制によってトップを決めます。 7代目座主パクパはフビライからモンゴル語と漢語の表記を一本化する公用語の制定を命じられて1269年、 チベット文字を基礎としたモンゴルのパスパ文字を作り上げたことで有名です。

総本山：サキャ寺

ボン教
ボン教とは、チベット古来の民族宗教です。またはポン教とも呼ばれ、 語源のポンパは「王たちの神聖な儀式を司る役職」という意味です。 チベットに仏教が伝わり、栄えると同時に衰退していきました。
ボン教はトンパ・シェン・ラプを開祖とします。カイラス山の麓に生まれた彼は天界でボン教の教えを学んだあと、 31歳に俗世界との関係を断ち、禁欲生活を送りながら苦しみのうちにある人々を救うため、 ボン教の教えを広めていきました。
ボン教徒は山や湖を神と見立て崇めるので、チベットには聖地めいた山や湖などが至る所に 点在します。今尚そういった山や湖などを聖地と崇める習慣が残っていることから、 ボン教はかつてチベットに住む人々にとって重要なものだったことがわかります。

総本山：メンリ僧院